店舗の暑さ対策とは?従業員・お客様が快適に過ごせる環境づくりのコツ

2025.08.05店舗の安全管理
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近年の夏は気温の上昇が著しく、熱中症のリスクが高まっています。店舗でも、従業員やお客様の健康を守るために、しっかりとした暑さ対策が求められます。

そこで今回は、店舗でできる暑さ対策を従業員向け・お客様向けにご紹介します。

 

事業者に対して熱中症対策が義務付けられている

2025年6月に労働安全衛生規則が改正になり、一定の条件下で作業を行う事業者に対して熱中症対策が義務付けられました。

具体的には、暑さ指数(WBGT値)が28度以上、または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて作業を行うことが見込まれる場合が対象です。こうした環境下で作業する場合、事業者に対して「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」といった対応が求められます。

また、義務の対象外となる事業者であっても、従業員が安心して働けるよう環境を整えることが重要です。さらに、店舗では従業員に加え、お客様に対する暑さ対策も欠かせません。快適な空間づくりは、サービスの質向上や集客にもつながります。

参考:

 

従業員向けの店舗の暑さ対策

まずは、店舗内で働く従業員に向けた暑さ対策について、具体的な取り組みをご紹介します。

 

作業環境の温度・湿度管理

店舗内の温度や湿度を適切に管理することは、従業員の体調管理に直結します。特に厨房や倉庫、屋外と接している出入口付近などは熱がこもりやすく、注意が必要です。

業務用エアコンだけでカバーしきれない場所には、スポットクーラーや送風機などを活用し、局所的な快適性を確保しましょう。また、湿度が高いと体感温度が上昇しやすいため、温度だけでなく湿度も定期的にチェックし、適正値に保つことが求められます。

 

制服やユニフォームの見直し

従業員が快適に過ごせるよう、制服やユニフォームの素材選びも重要なポイントです。通気性や吸汗速乾性に優れた素材を採用することで、熱がこもりにくくなり、体温上昇を抑えることが可能です。加えて、接触冷感機能がそなわっていると触れるだけで、ひんやりと感じられます。制服やユニフォームの素材やデザインも見直しを検討しましょう。

 

水分補給・休憩の確保

作業場の温度や湿度が高い場合は、従業員がこまめに水分補給や休憩を取れるような仕組みづくりも欠かせません。熱中症のリスクを防ぐためには、喉が渇く前の段階で水分を補うことが大切です。そのため、業務の合間に自然と水分補給ができるよう、給水設備や冷たいドリンクの提供を検討すると良いでしょう。

また、空調の効いた休憩室の設置は、暑さから体をリセットするために有効です。特に夏場は、通常よりも休憩回数を多めに設定し、休憩を取るよう呼びかけるようにしましょう。

 

暑さ対策についての教育を実施

熱中症などのリスクを正しく理解し、適切な対応を取るためには、従業員への暑さ対策に関する教育や研修の実施も重要です。例えば、熱中症の初期症状や対処法、応急処置の方法を周知することで、緊急時に迅速な対応ができます。

また、こうした教育を通じて、暑さ対策の意義を全員が理解し、日常的に予防を意識できる職場づくりへとつなげていくことが大切です。

 

お客様向けの店舗の暑さ対策

夏場の店舗運営においては、従業員の体調管理だけでなく、お客様が快適に過ごせる環境づくりも非常に重要です。店内の居心地が良いと感じてもらえるかどうかは、再来店や購買意欲にも大きく影響します。ここでは、来店客への配慮として取り組みたい暑さ対策についてご紹介します。

 

店内の快適な空調環境

冷房の設定温度が適切であるかどうかは、店内の快適性を大きく左右します。特に熱のこもりやすい飲食店などでは、風量や冷房の出力も重視すべきポイントです。

店内に温度ムラがある場合は、シーリングファンやサーキュレーターを活用し、空気を循環させることで、全体に涼しさを行き渡らせましょう。お客様がどこにいても快適に過ごせる環境づくりが求められます。

 

待ち時間の対策

混雑時や受付待ちが発生する店舗では、お客様が待つ時間も快適に過ごせるような対策が求められます。例えば、空調の効いた待合スペースの設置や、冷たいおしぼり・冷水の提供などは、手軽ながら高い満足感が得られるサービスです。

また、来店者が屋外で並ぶケースが想定される場合には、日よけのテントやミストファンの導入も検討すると良いでしょう。加えて、整理券を配布して集合時間に再来店していただく方法も、不快な屋外待機を避ける手段として挙げられます。短い待ち時間でも暑さによる不快感が蓄積しないよう、細やかな配慮を心がけましょう。

 

店内POPやディスプレイでの季節感演出

店舗の視覚や聴覚的な演出も、涼しさを感じさせる大切な要素です。水色や白を基調としたカラーリングのPOPやディスプレイ、小物の設置により、見た目から涼しさを演出することができます。あわせて、涼しげなBGMや風鈴の音色などを取り入れると、五感に訴える快適空間がつくれます。

 

駐車場の巡回

店舗の敷地内に駐車場がある場合、お客様が車内で過ごす時間にも配慮が必要です。近年はエアコンをつけたままの車内でも熱中症になるケースがあり、安心とは言い切れません。

特に、小さなお子様連れのご家族が来店される場合は、子どもの車内放置による事故を防ぐためにも、スタッフや警備員による駐車場の定期巡回を実施することをおすすめします。万が一のリスクを未然に防ぐ姿勢は、店舗への信頼にもつながります。

 

暑さ対策には店舗のレイアウトも重要!

店内のレイアウトによっては、冷房をつけていても温度ムラが発生してしまうこともあります。効率よく空調を行き渡らせるため、店内のレイアウトを見直すことは暑さ対策において欠かせないポイントです。

 

空調の通り道を遮らない配置にする

店舗内で冷房効果を得るには、空調の吹き出し口や吸い込み口の前に障害物を置かないよう注意しましょう。棚や大型ディスプレイ、ポスターなどで空気の通り道がふさがれていると、冷気が店内にうまく循環せず、局所的に暑さが残ってしまいます。

特に、天井埋め込み型のエアコンや壁掛けエアコンを使用している場合は、空調の風の流れを意識しながら商品棚や什器の配置を見直すと良いでしょう。必要に応じて、サーキュレーターを使って空気の流れをサポートするのも効果的です。

 

冷気を逃がさないゾーニングの工夫

限られた冷房能力を最大限活かすためには、冷房が効きやすい場所にお客様が滞在するエリアを集約する「ゾーニング」の工夫も有効です。例えば、レジや待合スペース、サービスカウンターなどを、直射日光が当たらず冷気が届きやすい位置に配置することで、お客様にとって快適な空間を提供できます。

また、入り口付近の外気の出入りが激しいエリアには、パーティションや簡易的な仕切りを活用して冷気の流出を防ぐのもおすすめです。ゾーニングの工夫によって、空調機器の負担も軽減され、省エネルギー効果も期待できます。

 

待機スペースの快適性向上

店舗の中でも、お客様が比較的長く滞在する待機スペースは、暑さ対策を特に重視したい場所です。直射日光が当たる場所に椅子やソファを配置していると、体感温度が上がってしまい、不快に感じる原因になります。

待機スペースに直射日光が当たる場合には、レイアウトを見直して日陰になる位置へ移動するか、窓にブラインドやロールスクリーンを設置して日差しを遮る対策を講じましょう。さらに、観葉植物や冷感素材のクッションなどを取り入れて、視覚的にも涼しさを演出することで、より快適な空間づくりが可能になります。

 

まとめ

今回は、店舗の暑さ対策について解説しました。

倉庫やバックヤードなど従業員が作業する場所が高温になる場合、熱中症に注意が必要です。こまめな休憩や、サーキュレーター・スポットクーラーの導入など暑さ対策を積極的に取り入れるようにしましょう。また、来店したお客様向けの暑さ対策も重要です。レイアウトの見直しや待ち時間の対策などを行い快適に過ごせるよう工夫しましょう。

 

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