アパレル店・衣料品売場で起きた事故事例と事故を防ぐ安全対策

2019.12.02売場の危険な場所
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衣料品売場にいる子ども

ハンガーラックやマネキンなど、さまざまなディスプレイ用品を用いるアパレル店や衣料品売場では、それだけ危険も多くなります。そのため、安全対策をしっかり行い、お客様に安心してお買い物をしていただける店舗づくりを目指すことが大切です。

以下では、衣料品売場の注意ポイントや事故を防ぐための対策をご紹介します。

アパレル店・衣料品売場の危険エリア

一見アパレル店や衣料品売場は危険がなさそうに思えますが、細かく見ていけば実は危ないポイントがいくつもあります。

危険① フックやブラケット金具の先端

ベルトや靴下をフェイスアウトフック(正面に突き出す形のフック)に吊るして陳列している店舗では、フックの先端がお客様の顔や身体に当たる事故が起こりえます。

こうした事故を防ぐためには、先端を保護キャップでカバーして事故を防ぎましょう。陳列棚の棚受けブラケットの先端が、棚板から飛び出している場合も同様です。

危険② マネキンの転倒、トルソーの落下

アパレル店のトルソー

衣料品のディスプレイに欠かせないマネキンは、転倒しないよう土台のしっかりしたものを選び、お客様の歩行を邪魔しないゆとりのあるスペースに設置することが大切です。

なお、トルソー(マネキンの胴体部分)を棚の上に置いている店舗では、落下事故が起こりえます。土台の底にセーフティクッションシールを貼ったり、セーフティワイヤーで壁に固定したりして、落下を防ぎましょう。

危険③ スタンドミラーの転倒、破損

売場に姿見を設置する店舗では、ミラーの転倒や破損が起こりえます。

スタンドミラーは土台のしっかりしたものを選び、安定感のある場所に設置しましょう。子どもが多く訪れる店舗では、軽量で割れる心配もないフィルムミラーを採用するのも1つの方法です。

危険④ ハンガーラックの転倒

ハンガーラックは多くの洋服などのアイテムを掛けられる点で便利な反面、重心が偏ったり何かが引っかかったりすると転倒するリスクがあります。お客様に接触した場合、捻挫や打撲などのケガを負わせてしまう可能性もあるため、キャスターには必ずロックをかける、壁や棚沿いに設置するなどの対策をしておきましょう。

危険⑤ 角、跳ね上げ、揺れなど、陳列棚は危険がいっぱい

衣料品の陳列棚

陳列棚の角が尖っている場合は、コーナーガードやポイントガードを貼って保護しましょう。コーナーだけでなく、辺全体を保護できるガードレールタイプもあります。

陳列棚はお客様が手を付いた拍子に棚板が跳ね上がったり、不意な揺れで落下したりといった事故も起こりえます。棚押さえや揺れ止め補強バーなどの安全対策パーツで棚板を固定すると、安全性が高まります。

衣料品売場では、ガラス製のディスプレイ棚を使う店舗も少なくありません。ガラス棚は割れると重大な事故につながるので安全対策が特に大切です。跳ね上げ止めのガラス押さえパーツを使うと、棚板の落下を防ぐことが可能です。

また、ガラス棚板の角が鋭利な場合は、樹脂製などのガラスガードを貼って保護すると安心です。

アパレル店・衣料品売場で起きた事故事例

怪我をした子どもの手

具体的にどのような事故事例があるのか見ていきましょう。

1.フックが眼に刺さり負傷

2012年1月、洋品店で買い物中のお客様がディスプレイスタンドに接触。スタンドのフックが眼に刺さり、眼の中を2針縫うケガをしました。責任を追及され、店舗は休業補償を要求されています。

2.子どもがフックに衝突

2011年8月、服飾店にて3歳の子どもがコーナーを曲がった際、靴下用の陳列フックが眼に当たる事故が発生。大事には至らなかったものの、親御さまからは不満の声が寄せられました。

3.マネキンが倒れてきて転倒

2016年2月、洋服店でマネキンが倒れてしまい60代のお客様が転倒。全治1カ月程度の打撲を負い、治療費を請求されました。

4.子どもが鏡の下敷きに

2016年12月、ブティックにて大型の全身鏡が倒れ、3歳の子どもが下敷きになる事故が発生。子どもは救急搬送される事態に至りました。

5.ハンガーラックが倒れてきて打撲

2017年12月、多くの洋服が掛けられたハンガーラックが倒れ、60代のお客様が腕を打撲。

6.ハンガーラックが倒れてきて捻挫

2014年7月、商品展示用のハンガーラックが倒れ、接触したお客様が右手首を捻挫しました。

アパレル店・衣料品売場で行うべき安全対策

アパレル店や衣料品売場では、ディスプレイの工夫以外にどのような安全対策を行うべきなのでしょうか?

スタッフへの安全衛生教育の徹底

アパレルスタッフ

ここまでご紹介したように、アパレル店や衣料品売場には思いのほかケガの原因となる場所が多くあります。つまり、ディスプレイの配慮のなさやスタッフの不注意により、お客様がケガをしてしまう可能性も十分あるのです。

また、来店されるお客様の中には小さな子どもを連れている方もいることを考えると、子ども目線に立ったときにも危険がないように気を配る必要があります。

お客様が安心して安全にショッピングできるようにするには、まずはスタッフの安全教育を徹底し、売場の危険を最小限に抑えることから始めましょう。アパレル店には、純粋に服やファッションが好きという理由で働いているアルバイト・パートの方も多いかと思いますが、安全対策への意識も強まるよう積極的に教育することが重要です。

ヒヤリハット報告・KY活動の実施

売場での事故を未然に防ぐためには、どこにどのような危険が潜んでいるのかを具体的に把握することが大切です。

そのためには、ヒヤリハット(一歩間違えば重大な事故につながっていたと思われる状況)の報告や、KY活動(事故が起こりうる場面を想定してその危険性を指摘しあう訓練)を行うことが効果的でしょう。

現場で働きながら、いつどのような場面で危険を感じたのかを詳細に報告することで、スタッフ全員の安全対策への意識向上も期待できます。

ディスプレイの見た目と安全性を両立させるには

インテリア性のあるディスプレイ

衣料品売場では、ディスプレイの見た目も重要です。ディスプレイの美観を損ないたくない場合は、目立ちにくい透明の先端保護キャップや、高級感のあるクロームやゴールドカラーのブラケットなどを活用してみてはいかがでしょうか。安全性とインテリア性を両立し、お客様が安心して楽しくお買い物できる店舗を作ることが大切です。

まとめ

アパレル店や衣料品売場には、フックや大きな全身鏡、マネキンやハンガーラックなどさまざまなディスプレイアイテムがあり、それらは事故の原因になり得ます。ディスプレイの見た目ももちろん大事ですが、インテリア性を保ちつつ安全対策ができるディスプレイパーツを使うなどして、来店されるお客様の安全も意識した空間にすることも非常に重要です。

誰もが安心してお買い物できるように、ディスプレイの工夫、スタッフへの安全教育、ヒヤリハット報告やKY活動など売場の安全対策を積極的に行いましょう。

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タグ : スーパー 落下 衣料品 子ども 陳列棚 売場 転倒
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