駐車場で交通事故!店舗側に責任はある?事故・事件の事例もご紹介

2020.03.16店舗の安全管理
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乗用車同士の接触事故

店舗に車で来店するお客様のための駐車場。店舗の来店率を上げるために必要な設備ではありますが、お客様同士の車の衝突事故や歩行者との接触事故のほか、車上荒らしなどの事件が発生するリスクも存在します。

もしも駐車場内で事故や事件が起こった場合、店舗側に責任はあるのでしょうか?今回は、店舗の駐車場での事故や事件について、店舗側の責任が発生するケースと実際の事例、安全対策などをご紹介します。

店舗の駐車場で起きた事故や事件の事例

まずは、実際に店舗の駐車場でどのような事故や事件が起きているのか見ていきましょう。

【事故事例1】混雑したスーパーの駐車場にて衝突事故

衝突した乗用車

※画像はイメージです。実際の事故現場の写真ではありません。

2010年7月、京都市内のスーパーの駐車場にて車同士の衝突事故が起こりました。事故発生当時、駐車場内は混雑しておりワンボックスカーが駐車場の空き待ちをしており、その後ろには軽自動車が同じように待っていました。

ワンボックスカーが空きスペースを見つけた途端、何の合図も出さずにバックし、後ろの軽自動車の左前部に衝突。軽自動車のドライバーは頭痛や両手のしびれなどを起こす怪我を負う事態となりました。

【事故事例2】駐車場の警備員に気づかず衝突

2007年6月、愛知県名古屋市のスーパーの駐車場を急いで出ようとしたステーションワゴンが急加速し、駐車場の出口で停止の合図を送っていた警備員に気づかず衝突。警備員はそのまま車の下敷きになり、死亡するという重大な事故となりました。

ドライバーの主張としては、駐車場から右折して出ようとしたときに左方から車が来たのでそちらに気を取られて、警備員の存在に気付かなかったということです。

【事件事例】無施錠の車を狙っての車上荒らし

車上荒らし

※画像はイメージです。実際の事件現場の写真ではありません。

2013年4月、富山県氷見市のスーパーや書店の駐車場で車上荒らしを繰り返し行っていた容疑者が逮捕されました。容疑者は自分の車で来店して駐車場内で待機し、車の鍵をかけずに店に向かった来店客の車に侵入し、車内にあった荷物を持ち去ったとされています。

車上荒らしは車の窓ガラスを割って侵入されるケースのほうが多いですが、無施錠の車への侵入は比較的人目を気にせず犯行に及べることから日中の被害も起きやすいといわれています。

駐車場内での事故や事件、店舗側に責任が発生するケースとは?

車が集まる駐車場内では、お客様同士の車がぶつかったり、壁や柱などに車がぶつかったり、別のお客様を轢いてしまったりと、さまざまな事故が発生する可能性があります。さらに、車上荒らしなどの犯罪が起こる可能性もゼロではありません。

駐車場内に、「駐車場内のあらゆる事故・事件の責任は負いかねます」という看板を立てている店舗も多いのではないでしょうか。そうした看板は原則として法的効力を持ちませんが、事故や事件が起こった際、責任は事故を起こしたお客様自身にある場合が多く、店舗側に責任が発生するケースは少ないです。

ただし、駐車場内の環境などによっては店舗側に責任が発生するケースもあります。店舗側に責任が発生する可能性があるケースとしては、以下のようなものがあげられます。

駐車場内の環境に問題があった場合

暗い駐車場場内

駐車場の所有者である店舗は、駐車が安全かつスムーズに行える環境を整える義務があります。場内が、「照明が切れていて見通しが悪い環境だった」、「駐車スペースが不当に狭く、駐車しにくい環境だった」、「フェンスや塀がなく、店舗の利用者以外が簡単に駐車場内に侵入できる環境だった」など、いつ事故や事件が起きても不思議ではない状況だった場合、駐車場所有者が安全な環境作りを怠ったとして、いくらかの責任を負わなければならない可能性があります。

店舗は駐車場の所有者として、スペースや防犯性を考え、安全性の高い駐車場の環境を整えましょう。

駐車場内の設備などが事故の原因の場合

「場内に設置された看板が倒れてお客様が怪我をした」、「場内に植えられた樹木の枝が落ちて車が傷ついた」など、駐車場内の設備が事故の直接的な原因を作った場合も、店舗側に責任が問われます。

店舗は場内設備などが安全であるかどうか、定期的に点検して場内の安全を守る必要があります。

有料駐車場の場合

店舗の利用客が無料で利用できる無料駐車場ではなく、有料の駐車場だった場合は賃貸借契約が成立するため、店舗側に管理責任が発生します。駐車場所有者である店舗は駐車場の環境を整えるほかにも、防犯カメラを設置したり警備員を配置したりといった対策を講じる必要があります。

事故や事件が起きにくい、安全な環境作りが重要

駐車場内での事故や事件は、店舗内の売場などと異なりお客様の自己責任であるケースが多く、店舗側に責任が求められることはほとんどありません。しかし、場内で重大な事故や事件が起きた場合は、店舗自体の評判にも関わってきます。店舗側としては事故や事件が発生しないよう、できる限り安全な環境を整えることが重要です。

車の動線などを考え、事故が起きにくい駐車スペースを配置するとともに、照明や防犯カメラなどの設備を整え、定期的に点検を行うことで、事故や事件が起きるリスクを下げることができます。

下記では各対策について詳しくご紹介します。

事故が起きにくい駐車スペースの配置にする

駐車場と作業員

駐車場では、柱や多くの停車中の車などにより多くの死角が生まれます。加えて駐車スペースが狭い、歩行者の動線の近くにあるなどの問題があれば事故は発生しやすくなります。

できるだけ死角を少なくする工夫をすることで、ドライバーが周辺状況を把握しやすくなり事故の予防につながるといえるでしょう。また、車止めを設置することで、駐車時に勢い余ってフェンスや壁にぶつけるといった事故も防げます。駐車場内での事故を100%防ぐことにはなりませんが、駐車場自体を停めやすいつくりにすることは事故予防に有効な対策法です。

注意喚起の看板を設置する

駐車場内で事故のリスクが特に高くなる合流地点や出入り口付近には、ドライバーへ注意喚起をする看板を設置することをおすすめします。

車上荒らしについても「車上荒らしにご注意ください」「近隣で車上荒らしが多発しています」などの注意書きを駐車場内に掲示することで、来店客への注意喚起になるとともに、犯行を目論む人間に対しての牽制にもなります。

照明や防犯カメラなどの設備を整える

駐車場内の防犯カメラ

照明があることで夜間でも視界が良好になり、他の車との距離感や歩行者の動きも把握しやすくなります。また、防犯カメラを駐車場内に設置しておくことで、利用者同士の交通事故や車上荒らしなどが発生した際に、当時の正確な状況確認に役立ちます。照明や防犯カメラの存在自体が車上荒らしの抑止力になることも考えられるでしょう。

【事故事例2】でご紹介したような事故も、照明が設置されていれば警備員の存在に気づいて一旦停止ができたかもしれません。

定期的に点検や対策の見直しを行う

駐車場内の設備を一度充実させたとしても、消耗品である機械はしばらく使っていると不具合や故障が起きる可能性もあります。以前取り付けた照明がチカチカと点滅している、防犯カメラで撮影できる範囲が狭い・足りない、精算機やバーがスムーズに動作しないなど、何か問題や課題が見つかるかもしれません。

駐車場内の設備は定期的に点検し、安全性を保てるように対策の見直しも行いましょう。

まとめ

交通事故は公道でのみ起こるわけではなく、実際は商業施設などの駐車場内でも起こっています。特に混雑時には多くの車が停車しているだけではなく後続に空き待ちの車がいたり、また駐車場内の歩行者の数も多くなったりもします。

車同士の衝突や、ドライバーの不注意による事故の場合、店舗側が責任を追及されることはあまりありませんが、駐車場のつくりや設備を工夫することで事故が起きる可能性を下げることは可能です。照明や防犯カメラを設置する、来店客が余裕を持って駐車できるようなスペースにするなど、店舗側ができる対策は事前に講じておくことが望ましいでしょう。

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タグ : スーパー 駐車場 照明 損害賠償 事故対策
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