本屋などの店舗の書籍・雑誌・絵本コーナーに!本棚の転倒や本の落下防止対策

2020.07.12売場の危険な場所
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本屋で重視したい安全対策といえば、やはり本棚の安全対策です。また、本屋でなくても、売場内に書籍や雑誌のコーナーがある、という店舗も多いのではないでしょうか。飲食店であれば、店内のお客様が自由に読むことができる雑誌や絵本などを本棚に設置していることもあるでしょう。

1冊でもそれなりの重量を持つものも多い書籍は、食品や衣料品以上に事故の可能性が高く、十分な安全対策が必要となります。店舗はお客様が安心して買い物を楽しめるように、書籍・雑誌コーナーでも十分な安全対策を行いましょう。

 

絶対に避けたい本棚の転倒!事故を防ぐためには

書籍に関する安全対策で最も気をつけたいのが、本棚の転倒ではないでしょうか。書籍の場合、棚の下部だけでなく上部にも同じように重量が集中しやすく、本棚の奥行きによっては非常に不安定な状態になってしまいます。

過去には、ふとしたきっかけで本棚が倒れてしまった事故も起こっています。

 

本棚の転倒による死亡事故事例

2009年10月、北海道の古書店で突然本棚が倒れ、来店客の小中学生女児2名が下敷きとなる事故が起きました。被害者のうち1名は軽傷でしたが、もう1名は崩れ落ちてきた本が胸を強打し意識不明の重体に。そして、事故のおよそ3年後に入院先の医療施設で亡くなりました。

本棚が倒れた原因は、ある本棚の最下段が本の重みによって壊れ、それにより天井や壁に固定されていなかった他の本棚が将棋倒しに倒れたものと見られています。事故当時の経営者と店長は業務上過失傷害の疑いで書類送検され、元経営者には禁錮1年執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。

消費者庁ではこの事故を受け、本棚転倒防止のための実験を実施しました。この実験では、本棚の奥行きや高さによっては天井や壁などに固定されている場合でも些細な衝撃によって不安定になり、倒れる危険性があることが確認されています。そのため、こうした結果をもとにした再発防止策が日本書店商業組合連合会などの各団体に通知されました。

 

店舗に設置する本棚選びのポイント

安全対策のためには、本棚は容易には倒れないタイプを選ぶことが重要です。平台部分が十分な重石になるものや、足元から上部にかけて傾斜しているものなど、足元が床に十分接地しており、地震などの大きな揺れがあっても本棚自体は転倒せずに持ちこたえられるものを選びましょう。

消費者庁から出されている本棚の転倒防止策についての通知でも、棚の選定については、安定性があり、収納する書籍等の重量に対して十分な強度を持っている棚を選ぶべきで、特に下部に重心を持った構造のものが望ましいと書かれています。

 

本棚の転倒対策

本棚は、十分な強度がある床や柱などの構造物に固定して設置することが原則です。転倒対策にあたってはL型金物と呼ばれる金具を用いて固定を行うのが一般的ですが、店舗や公共施設に設置する場合は専門家へ相談することが推奨されています。

先の消費者庁の通知では、本棚を固定しないで自立させて使用する場合は、「棚の奥行きを高さの平方根で割った値が4を超える」という基準を満たすかどうかが棚選定の目安として示されています。本棚を設置したい場所の付近に固定できる壁や柱がない場合は、こちらの基準をクリアしているものを選びましょう。また、重量のある本を棚の下段に収納すると、本棚の重心が低くなるので転倒しにくくなります。図鑑や絵本などハードカバーの本は、下段に収納するようにしましょう。

 

本の落下も危険!どんな防止対策がある?

店舗での書籍にまつわる事故において対策が必要なのは、本棚の転倒だけではありません。本棚に収められた本の落下についても防止対策が必要です。

 

本棚から本が落下することのリスク

前項でご紹介した事故事例で、後に死亡した女児は事故の際に「落ちてきた本が胸を強打した」と見られています。表紙が硬いハードカバーの本や、分厚い辞書などが上から落ちてくれば、大人でも重傷を負うことがあります。重さのない雑誌や文庫本でも、当たりどころが悪ければ大怪我をすることもあるでしょう。

また、落ちた本を踏んでしまったお客様が転倒するリスクもあります。

ほかに、事故ではありませんが、落下時に本の表紙が汚れたりページが折れたりすることも。原則として、店舗の管理不備によって汚損した場合は出版社への返本はできないため、店舗の負担となります。また、本を元の棚に戻す手間もかかります。

 

店舗に設置する本棚選びのポイント

本の落下を防ぐためには、本棚は書籍がはみ出さない、十分な奥行きがあるものを選ぶことをおすすめします。書籍が本棚からはみ出てしまっている場合、少しのきっかけで棚から書籍が落ちてしまいます。

さらに、はみ出した書籍の部分に手をつき、書籍が落下した拍子に転倒するという事故ケースもあります。店舗はできる限り書籍が棚からはみ出さないよう奥行きのある本棚を選ぶなど、書籍が落下しないよう安全対策を行う必要があります。

 

本の落下対策

設置した本棚から本が落下するのを防ぐためには、落下防止用のすべり止めテープの使用が効果的です。収納した本の手前に貼るだけで、本棚からの落下を抑制してくれます。

そのほかに、本棚の転倒対策としてご紹介した「重い本は下段に収納する」という対策は、万が一本が落下した際の被害も低減できます。

 

ポップや看板など、本の販売促進アイテムも要注意

書籍コーナーでは、販売促進のためのポップや看板など、本棚以外の展示物もディスプレイしていることも多いでしょう。多くは期間限定で設置されるため、通路にはみ出して設置しているケースや、しっかりと固定していないケースが多く、お客様がぶつかったり引っかかったりして怪我をするケースも確認されています。

「どうせすぐに撤去するから」と中途半端な状態で設置するのではなく、販促用のポップや看板などは邪魔にならない配置を考え、動かないようにしっかりと固定しましょう。また、本棚を支える什器などの先端で怪我をしないよう、カバーをつけるなどの細やかな安全対策も重要です。

 

絵本コーナーを利用する子どものための安全対策

書店でも飲食店でも、絵本コーナーは子ども1人で歩き回ることも多い場所です。床を滑りにくい素材にしておく、棚などの什器の角にカバーをつけておくなどの安全対策も忘れないようにしておきましょう。手の届かない棚の上部の書籍は店員に頼むように張り紙などでお願いをするといった、事故防止のための安全対策も効果的です。

 

まとめ

今回は、書店やその他小売店、飲食店などの書籍コーナーに設置する本棚の事故対策をご紹介しました。

本棚の転倒や本の落下は、命に関わる事故にもつながります。店内に本棚を設置する際には、安定性の高いものを選定した上で壁や天井などへの固定などの対策をしっかり行いましょう。

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タグ : 落下 転倒 防止 本棚
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