【飲食店・居酒屋】レイアウトの基本と安全対策について

2019.07.22売場の危険な場所
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飲食店レイアウトの基本飲食店や居酒屋、商業施設内のフードコートなどのお客様が食事を取る場所では、一般の売場とは異なる安全対策が必要です。

床が水や油で汚れていたことによる転倒事故のほか、事故が起こりうる危険なポイントが潜んでいます。

以下では、飲食店や居酒屋のレイアウトの基本と、事故を防ぐための安全対策をご紹介します。

飲食店のレイアウトの基本は?

飲食店にとってレイアウトは、売上を左右する大きな要素です。厨房とフロア、客席、設備など考えるべきレイアウトは多くあります。

例えば、フロアの席数を多くすればそれだけ収容人数も増えますし、最大の売上額も増えるかもしれません。しかし、あくまでもそれは計算上の話であって、実際は飲食店のタイプやイメージ、雰囲気によってレイアウトは変える必要があります。

席数

飲食店の席数一般的に適当な席数は1坪あたり1席~2席といわれており、低価格帯の飲食店では席数が多く、高価格帯の飲食店では席数は少なくなります。

例えば、大衆的なお店であればグループでのお客様も多いことが予想されるため、できるだけ人数を収容できるよう1坪あたり1.5~2席が適切でしょう。反対に、高級志向のフレンチやイタリアンレストランなどであれば、ゆったりとした時間を過ごしていただくためにも1坪あたり1席が目安になります。

ただし、立ち飲みバルなどのように狭く作ることを前提にしている場合は、あえて窮屈に感じる程度の席数に調整しても良いかもしれません。

客席タイプのバリエーション

客席は1種類だけではなく、さまざまなバリエーションを持たせると見た目にも好印象になりますし、建物の構造もフルに生かすことができます。

例えば、厨房に近いところにはカウンター席を、窓際の夜景が見えるような場所にはペアシート、壁際にはL字型のシートなど、複数のタイプを設けることで1人でもカップルでも、複数人でも来店しやすいレイアウトになります。

お客様・スタッフの動線確保

お客様・スタッフの動線売り上げや見た目のことだけを考えていると、意外と動きづらいレイアウトになる可能性もあります。席数などと同様に重視すべき要素が動線です。

トイレや出入り口までの動線を分かりやすくすることでお客様が迷わずに過ごせますし、厨房から客席までの動線をできる限り短くすることでサーブまでの時間を短縮でき、サービスの向上にもつながります。

飲食店内で危険が潜む場所は?

床の水汚れ、油汚れ

床の水汚れと油汚れ 飲食店やフードコートの床は、こぼれた水や調理の際に飛んだ油などで汚れ、滑りやすくなることがあります。そのため、お客様が歩行中に足を滑らせ、転倒する事故が多く起こっています。

平成11年に東京都内の商業ビルにある飲食店フロアの通路で60代の女性が転倒し、ビルの所有者が2200万円もの賠償金を支払った事故事例もあります。

平成24年にも大阪府の中華料理チェーン店内で、家族と来店していた40代の女性が転倒し、左膝を複雑骨折する事故がありました。女性側は約2500万円の損害賠償を求めて訴訟を起こしましたが、中華料理チェーン店側が解決金100万円支払う形で和解をする結果となりました。

どちらの事故でも、転倒の原因は床の油汚れとみられています。「飲食店の床が油で汚れるのは仕方ない」「来店客が気をつけて歩いていれば大丈夫」などと考えて清掃を怠っていると、このような事故が発生し多額の賠償金や和解金を支払わなくてはならない事態になりかねません。

床の汚れによる転倒事故を防ぐためには、普段から清掃を十分に行うのはもちろん、営業中も床に水汚れや油汚れがないかを小まめにチェックして、見つけたらすぐに清掃することが大切です。

通路の床の汚れは目につきやすくても、テーブルの下は見落としがちなので、「お客様が帰った後は必ずテーブルの下を確認する」などを、スタッフの間で徹底すると良いでしょう。

また、調理場の汚れが飲食スペースまで飛んでいたり、配膳中に水や油がぽたぽた落ちたりする場合は、ホールスタッフだけでなくキッチンスタッフにも相談や指導が必要です。油が飛ばないよう衝立てを置く、料理を出す前に食器についた水や油はしっかり拭き取るなど、安全対策を考えましょう。

テーブルやカウンターの角

お客様が利用するテーブルやカウンター、ワゴンなどは、お客様が頭や身体をぶつけた拍子に、怪我をする恐れがあります。そのため、コーナーが緩やかで安全なテーブル・什器を選ぶか、コーナーガードなどを貼るなどの安全対策を行いましょう。

また、通路が狭いとお客様がテーブルや什器に接触して事故につながるリスクが高まるので、店内はできるだけ余裕を持ったレイアウトにすることも大切です。

インテリアを兼ねたボトルやグラス

店内インテリア居酒屋の酒瓶、バーのワインや洋酒のボトル、カフェの食器など、インテリアも兼ねて瓶類や食器を店内に並べている店が多くあります。こういった「見せる収納」は雰囲気作りに役立ちますが、落ちて破損すると事故につながるため十分な安全対策が必要です。

お客様との位置関係

お客様の身体や荷物が触れやすい位置に並べるのは避けましょう。また、子どもが触って落とすことのないよう、子どもの手に届くところは避けるか、扉付きの棚に収納すると安全です。

落下防止対策

高い位置にボトルや食器を並べる場合、万が一地震が起こったときに備えて、落下防止措置を行いましょう。完全にディスプレイと割り切って並べるのであれば、動かないようにワイヤーなどで固定すると安全です。

固定すると支障が出る場合は、棚の端にこぼれ止めパーツを取り付けたり、前面につっかえ棒や細い板を置いたりして落下を防止しましょう。

以上が、飲食店やフードコートの代表的な危険エリアです。これらを参考に、店内に潜んでいる事故のリスクを察知し、適切な安全対策を行い、お客様が安心して過ごせる環境を作りましょう。

居酒屋のレイアウト

居酒屋のレイアウト居酒屋には20代の若者から50代60代の方まで、広い年齢層が集まるイメージがありますが、店舗のコンセプトや雰囲気によってターゲットとなる客層を具体的にイメージすることが大事です。

例えば、若い女性に多く来てほしい居酒屋であれば、いわゆる大衆的な空間よりも白を基調としたオシャレな雰囲気で、テーブル間の距離も広くゆったりと女子会が開催できるようなレイアウトがおすすめ。

また、純和風な居酒屋であれば、店内入り口の暖簾にこだわったり、入り口付近に箱庭を作ってみたりなど店に入る前からの「和の演出」も重要になりますし、厨房を囲むようにコの字型のカウンターを設けることで割烹のような雰囲気作りができます。

しかし、見た目や空間のオシャレさばかりを追求すると安全性がおろそかになることもあるので注意してください。空間演出のために店内全体を薄暗くしたばかりに、足元が見えづらくなってお客様の転倒につながるということも考えられます。

特に気をつけたいのが段差です。居酒屋であればお客様がお酒を飲んでいることが前提なので、個室に入る際の段差、トイレの段差など転倒のおそれがありそうな場所を想定して対策しましょう。

店側の演出やレイアウトによってお客様がケガをするという事態は、決してあってはなりません。行き過ぎた空間演出によって安全性が損なわれないようにしましょう。

まとめ

飲食店や居酒屋の適切なレイアウトは、ターゲットとなる客層や店舗のコンセプトなどによって異なります。

席数や雰囲気作りは集客に大きな影響を与えます。それゆえに一番に優先しがちな部分ですが、飲食店や居酒屋を経営する上で重要なのはお客様のことを考えること。

お客様が安全に、楽しいひと時を過ごせるレイアウトを念頭に置いて店舗作りをしましょう。

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タグ : 飲食店 清掃 ワレモノ 食器 事故対策 地震 陳列方法
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