なぜ撫でちゃダメ?子どもに教えておきたい介助犬の仕事

2019.12.16買い物中の事故・災害
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介助犬と車いすの女性

動物好きな子どもは多いですよね。散歩中の犬に子どもが近づいていって、触らせてもらったことがある方も多いのではないでしょうか。

普通なら微笑ましいシーンなのですが、もしその犬が介助犬だった場合、近づいてしまうと事故につながりかねません。そのような事故を予防するために、子どもに介助犬の仕事や見分け方について教えておきましょう。

介助犬とは?

介助犬とは、手や足に障がいのある方を手助けするための訓練を積んだ犬のこと。手や足に障がいのある方の日常生活をサポートしたり、予期せぬ事故を予防したりする、大切なパートナーです。

介助犬の歴史は比較的浅く、盲導犬がおよそ60年前から活躍しているのに対し介助犬が稼働し始めたのはおよそ25年前。2019年3月現在、全国の介助犬の実働頭数は65頭(盲導犬は928頭)とかなり少ないため、街で見かけたことがない方も多いかもしれません。

介助犬はどんな仕事をしているの?

ペンを拾い上げる介助犬

ペットとして飼われている一般の犬とは異なり、介助に特化した動きができます。例えば、ドアの開閉や物の拾い上げ・運搬、車いすを引くことから、ペットボトルのふたを開けること、割り箸を割ることなどさまざまな手助けができます。

介助犬はどんな犬種の犬が多いの?

介助犬として多く活躍しているのはラブラドールレトリバーです。その他にも、ゴールデンレトリバー、F1(ラブラドールとゴールデンのミックス)、スタンダード・プードルなども介助犬として活躍しています。

介助犬の見分け方は?

黄色と青色の胴着をつけた介助犬

日本では、介助犬は外出時に「介助犬」と書かれた胴着を着用するように定められています。黄色と青色の胴着が一般的です。

介助犬はどんな場所にいるの?

介助犬は、身体に障がいを持つ人と一緒に、店舗などの公共施設や電車などの公共交通機関などに同伴することが、法律で許されています。

この法律は「身体障害者補助犬法」と呼ばれ、国が定めるさまざまな施設に介助犬と同伴できるようにすることで、障がい者の方が円滑に施設を利用できるようにし、社会参加を促すものです。

買い物中に介助犬を見かけたら

子どもと買い物に出掛けたとき、たまたま介助犬がその店舗にいる可能性があります。介助犬は常に手や足に障がいのある方をサポートする仕事をしているため、散歩中の犬に出会った感覚で子どもが介助犬に近づいていってしまうことは止めてあげましょう。

介助犬にしてはいけないこと

介助犬にしてはいけないこと

まず、外出中の介助犬は常に仕事をしている状態だということを覚えておきましょう。使用者のサポートに集中しているときに最もしてはいけないことが「仕事の邪魔をする」ことです。具体的にいえば、介助犬に危害を加える、食べ物を与える、撫でる、話しかけるなどの行為はしてはいけません。

例えば、子どもが介助犬に触ろうとしてしまうと、介助犬の集中力が切れてしまい障がいのある方をサポートできなくなる可能性があります。その結果、子どもと障がいのある方がぶつかってしまったり、どちらかが転倒してしまったりするなど、危険な事故につながってしまう、なんてこともあり得るのです。

また、触るだけではなく、見つめたり話しかけたりするだけでも介助犬の集中力は途切れてしまいます。つまり、基本的に介助犬を見かけたときには「犬の気が散るような行動は何もしない」ことが一番です。かわいいと思っても、一般的な犬と接するのとは違うということを子どもに教えてあげましょう。

介助犬の使用者さんに声を掛けるときは

介助犬の使用者の方

基本的に何もしないといっても、介助犬の使用者が明らかに困っている様子であれば「お手伝いしましょうか?」「何かお困りですか?」などのように使用者の方に声を掛けて手助けしましょう。

声を掛けるときにはいくつかの配慮が必要です。

まず、介助犬の使用者は車いすに乗っている方がほとんどなので、話しかける際は腰を落とし同じ目線の高さで話すようにしてください。

また、後ろから話しかけるのはNGです。車いすに乗っていると後方の確認がしづらく、無理に後ろを向かせることになりますし、顔がよく見えない状態で話しかけると不安感を与えてしまいます。そのため、相手の方の正面やサイドから声を掛けるようにしましょう。

介助犬の使用者を補助する際には、車いすがスムーズに通れるかどうかを確認しながら、できる限り段差のない道、方向転換がしやすい道を選ぶように心掛けてください。

介助犬・盲導犬・聴導犬について子どもに教えておこう

子供に言い聞かせる母親

特に動物好きの子どもには、「人をサポートしている大切なお仕事中の犬もいる」ということ、「お店や電車の中に犬がいた場合には、その可能性が高いということ」を普段からしっかりと伝えて、事故を予防しましょう。

介助犬に対する子どもの理解度をさらに高めて、事故を予防するためには、介助犬が登場する絵本などを読み聞かせて説明してあげるとわかりやすいでしょう。介助犬とのふれあいイベントの様子や仕事内容を解説する動画も、インターネットで見ることができます。

また、公共施設や公共交通機関の利用を許可されているのは、介助犬だけではありません。目の不自由な方をサポートする盲導犬や、耳の不自由な方をサポートする聴導犬もいます。これらの身体の不自由な人の生活を助けるため、特別な訓練を受けた犬のことを総称して「補助犬」と呼びます。

介助犬と併せて、盲導犬や聴導犬、補助犬についても説明をし、不用意な接触や声掛けによる事故をしっかりと予防しましょう。

盲導犬や聴導犬に関しても、介助犬と同じように危害を加えたり、食べ物を与えたり仕事の集中が切れるような行為は避けてください。聴導犬に関しては基本的に自宅や職場など屋内で仕事をすることが多く、事故の危険性が少ないため、使用者の許可があれば触れ合える場合もありますが、くれぐれも無許可で触ることだけはやめましょう。

まとめ

手足が不自由な方のために働く介助犬は、ペットとして飼われている一般的な犬とは違い、介助に特化した犬です。店舗や公共交通機関などにいる介助犬のほとんどは仕事をしている状態のため、撫でたり話しかけたりして触れ合うことは基本的に仕事の邪魔になり、危険な事故を招いてしまう可能性もあります。介助犬の胴着を着けている犬や、車いすのそばに控えている犬を外出中に見つけた場合は、勝手に撫でたり近づいたりしないよう子どもにしっかり言い聞かせましょう。

介助犬と使用者の方の邪魔をしないためにも、子どもには介助犬のこと、他にも盲導犬や聴導犬などの補助犬という仕事をしている犬もいるということを教えてあげてください。

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タグ : 子ども 事故 防止 動物 介助犬
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